らくだの日記

読んだ本の感想や、書いている小説についてのあれこれを語ります。

「ボク、ただいまレンタル中」と「ひとりぼっちのロビンフッド」。

 さっき突然思い出し、内容が頭の中で上映されまくって止まらないので、子供のころに読んだ児童書について書いてみる。

 

 

ボク、ただいまレンタル中

 

 この作品は、多分従姉からもらいました。わたしはあんまり本を買ってもらえる子供ではなく、もらった本と学校の図書室の本で読書欲を満たしていたのでした。図書室の本でも印象的でのちに絶版になっているのを購入した本などありますが(坂東眞砂子「メトロ・ゴーラウンド」など)、もらった本で一番印象的なのは「ボク、ただいまレンタル中」と「ひとりぼっちのロビンフッド」ですね。どちらも課題図書のシールがついていたので、従姉も読書感想文コンクール用に買ってもらったんでしょう。

ボク、ただいまレンタル中 (新・こども文学館)

ボク、ただいまレンタル中 (新・こども文学館)

 

 どうっすか、この胡散臭い感じのおじさんと、あどけない少年。

 この二人は「レンタルまご」の仕掛け人と、アルバイトとしてレンタル孫をする少年です(名前は失念。本が手元にないのです)。今から書くのは、わたしの記憶の中の「ボク、ただいまレンタル中」です。

 

 少年は絵を描くのが好きなんですが、お父さんも絵描きだったのです。でもお父さんは被爆者で、被爆のために亡くなっており、少年はお母さんと二人で暮らしています。お母さんは少年が絵を描くのをあんまり好んでいなかった記憶があります。お父さんはあんまり有名な人とかじゃなかったみたいだし、絵の道に進んでほしくないんでしょう。

 そんな少年の元に現れたおじさん。おじさんはレンタル孫という仕事で、お年寄りを幸せにしてあげたいみたいなことを言って少年に協力を呼びかけます。少年はお母さんの許可を取り、お小遣い稼ぎにレンタル孫を始めます。

 

 最初に派遣されたのは、金さんという在日朝鮮人のおじいさんがいる病院。金さんは怖い感じのおじいさんで、在日朝鮮人として辛い思いをしながら生きてきた人でした。金さんは、日本人を敵として生きて、血がにじむ思いでお金持ちになり、息子にも「日本人には絶対に負けるな」と言って厳しく育ててきました。でも、息子はそんなお父さんに反発し、日本人の女性と結婚して出ていきます。息子には子供がいます。レンタル孫の少年は、息子に似ているのだそうです。

 おじいさんは少年を見ながら泣きます(もうこれを書くだけでわたしも泣けてくる)。少年はおじいさんのために、仕込まれた「アリラン」を歌ってあげます。

 

 何度も読んだのにここ十五年ほど読めてないので記憶が曖昧ですが、こんな感じ。細部を思い出したいので本を見つけたいんですが、どこ行っちゃったんだろう……。

 

 続いて、少年は日系アメリカ人のおばあさんのところに派遣されます。おばあさんはお金持ちで、しゃべり方が何となく特徴的。

 おばあさんは、戦時中のアメリカで日系人収容所に入れられていて、息子をそこで亡くしていました。おばあさんは息子の代わりとして少年をレンタルしたのです。

 一日一緒に出歩いたあと、少年は絵を描いて、おばあさんにあげます。おばあさんは大喜び。

 家に帰って何かすごいものが届いた気がするんだけど、思い出せない……。確かおばあさんの経済力で高級絵具かイーゼルか何かを買ってもらったような。在日朝鮮人のおじいさんからもらったんだっけ?

 

 今まではお金持ちのおじいさんおばあさんのところにレンタルされていったのですが、最後は田舎に住む普通の老夫婦のところへ。おばあさんのほうが孫がほしい孫がほしいと騒いで、確か勝手にレンタル孫を頼んだような。おじいさんは乗り気じゃなかったのです。田舎の人の「すぐそこ」は遠いので、迎えに来たおじいさんが「すぐ着く」と言うわりには遠い。

 おばあさんは大喜びで色んなものを食べさせてくれます。仏壇には位牌。

 おじいさんがおばあさんに責められるシーンが印象的。おじいさんは教師で、戦時中多くの若者を戦地に向かわせる教育をしていました。息子の「勝利」にも同様に。息子は戦死。おばあさんは「おじいさんが息子に死んで勝て」と言わなかったらうちには本当の孫がいた(わたしの記憶なのでご容赦を)と責めます。おじいさんは黙っています。勝利さんは一人息子で、結婚することなく亡くなりました。

 少年はおじいさんが墓参りするところを見てしまいます。おじいさんは墓の前で身も世もなく泣いていました(もうこれだけでわたしも泣く)。

 

 この村でのシーンは、他のレンタル孫と接するシーンが印象的。よその畑に入ってトマトを泥棒して持ち主に怒られたり(他のおじいさん)、川で遊んだり、いじめたりいじめられたり……。これ全てレンタル孫です。この村では若者が戦死したため、孫世代もいないのです。全部レンタル孫だとわかったときは結構ぞっとしました。トマトを泥棒するのも、村のおじいさんおばあさんたちは喜んで怒っているのです。孫世代がいたらこういうことをしていただろう的な。

 

 と、ここまで思い出しましたが、最後に印象的だったのが、レンタル孫仕掛け人のおじさんが詐欺師として逮捕されるところ。この人も何かあったのかなあ(戦災孤児だったような気がしているのですが、何しろ本が手元になく)。

 この本は単純に反戦を訴えるのではなく、戦争の被害者や、その後の困難な人生だけでなく、加害者加担者も描いているところがすごいと思います。後悔とif(もしも)の世界で生きる老人たちを描きながら、少年の目を通して書くあたりがいい作品って感じ。老人だけを書いたら伝わりにくいエピソードも、少年が描くと変わります。

 

 あー、また読みたい。本当にどこにあるんだろう……。

 

 

ひとりぼっちのロビンフッド

 

 これまた何度も読んだ本です。

ひとりぼっちのロビンフッド (きみとぼくの本)

ひとりぼっちのロビンフッド (きみとぼくの本)

 

 勇ましい猟犬で飼い犬の「テツ」と出かけた武。何と巨大イノシシと出くわし、崖から落ちた(かな?)ショックで体から魂が抜け出て、テツの体に同居してしまいます。体は見つかりましたが、昏睡状態。魂はテツの中にいるのだから当然です。

 少年は、テツの中から出て体に戻るための呪文を「金目大王」という巨大イノシシから手に入れるため、修行を始めます。

 

 この作品はわりとユーモラスです。テツが一番ユーモラス。自分のことを「アタイ」と言うし、お前オスだし勇ましいイメージだったのに……とがっかりする武にくすっと笑えます。でもテツはかっこいいんですよ。武のために一匹で(魂は武も一緒ですが)戦うんですから。

 

 武が昏睡状態で、父が、母が、泣きはらしたような疲れた顔で登場するのが印象的。武が好きだった「翼をください」を小学校の同級生たちが歌ってテープで聞かせるシーンとか。武は絶対に戻ろうとします。

 

 金目大王との戦いは、テツの中に武がいるので人間臭い動きをしたり、犬に戻ったり、面白いんだけど迫力があります。

 

 こちらは自然とのつき合い方について書かれた作品で、金目大王の正体も考えさせられました。ただのイノシシではなかった。

 

 最後に武の通夜が行われ、そこに飛び込むテツ、そして……というのがよかった。あーまた読みたい。どこに行ったんだ。

 

 

最後に

 

 子供のころであっても、感銘を受けた本はなくしたり処分したりするべきではないです。皆さん本は大事にしましょう。処分するのは壁本くらいにしとこうね……。