らくだの日記

読んだ本の感想や、書いている小説についてのあれこれを語ります。

オブライエン「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」、他。

 結局、結構楽しい作品集だとわかりました。私が仕事で疲れていただけだったのかも……。
 表題作「ダイヤモンドのレンズ」は今ひとつでしたが、もう一つの表題作「不思議屋」はなかなか楽しい勧善懲悪ものでしたし、「なくした部屋」や「墓を愛した少年」は怪しい生き物が出てきて子供も楽しめそうな不気味系ファンタジーでしたし……。一番気に入ったのは、調子を取り戻したころに読んだ「手品師ピョウ・ルーが持っているドラゴンの牙」と「ハンフリー公の晩餐」ですね。「手品師〜」はデタラメなんだけどそれっぽい、中国を舞台にしたファンタジーです。ドラゴンの牙を持っている手品師ピョウ・ルーが起こす奇跡の数々が楽しいし、それだけでは終わらないピョウ・ルーの手品や物語の「仕掛け」がわくわくさせてくれます。「ハンフリー公〜」はファンタジーじゃないのですが、空想の力で空腹や絶望を忘れようとする若い夫婦の物語で、空想で絶望を忘れたときの愉快さと、空想が途切れたときのふと沈んだ空気が緩急を作っていて読まされます。ハッピーエンドですし、気持ちよく読めますね。

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)

 今はフランチェスカ・リア・ブロックの「“少女神”第9号」を読んでます。最初の短編「トゥイーティースイートピー」ではっと目が開く感じがありました。固有名刺や商品名使いまくりの時事ネタありです。刹那的でありつつ鮮烈な作品。幼い女の子の鋭さや怜悧さのある感じ方が、姉の行動との対比で際立っています。こういう雰囲気で進むのかな?
“少女神”第9号 (ちくま文庫)

“少女神”第9号 (ちくま文庫)

 今村夏子の「こちらあみ子」のちくま文庫版も読もうと思って何ヶ月も過ぎている……。単行本は持ってるし読んでるのですが、こちらは単行本未収録の短編「チズさん」が入っているのですよね。今村夏子って寡作な作家ですね。「あみ子」で鮮烈なデビューを飾ったのに、新しい作品が少ない。「チズさん」を読んだら次が読みたくなると思うので、期待してます。山尾悠子だって寡作なんです。私は待てる!
こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

 新人作家繋がりで千早茜を思い出したのですが、「魚神」以外は読んでません。「魚神」以外の本も手に取ってみたのですが、「魚神」が生々しさのある近親相姦的きょうだい関係や生々しさのある性を盛り込んだファンタジー世界だったのに対し、そのあとの作品は割と現実寄りのあらすじだったので何となく敬遠してます。やっぱり小説すばる新人賞出身作家だから、バリバリのファンタジーは書かないのでしょうか……。創元や早川でデビューしたらああいうファンタジーを書いたのかなーと思えど、創元や早川みたいなタイプのファンタジーでもなかったなーと思います。
魚神(いおがみ) (集英社文庫)

魚神(いおがみ) (集英社文庫)

 で、自分の方向性について何となく考えてみるのですが、ファンタジーと非ファンタジー、二足のわらじで行きたいなと思います。どっちも楽しいですもん。ファンタジーは「砂糖細工の船」みたいなミドルファンタジーから「チカの街」みたいなローファンタジーまで書きたいし、非ファンタジーは「アリスの糸」や「ファレノプシス」みたいな微妙な心理を描いた作品も書きたい。この二年ほど書くのが下手ですが(というか根気がない?)、段々調子が戻ってきたし、全力で書いた作品を発表したいです。根気はですね、別の種類のものが生まれたので捨てたもんじゃないんですよ、私。作品を生み出す根気は半分くらい失われたのですが、書き直す根気が生まれてきたのです。私は書き直しが死ぬほど苦手だったのですが、今ならやれそうな予感……! 「ファレノプシス」を長編にしたり、「砂糖細工の船」を一段階濃密にした「砂糖細工の女たち」を書いたり、あと少ししたらやれそうです! 「COLORS」の書き直し・完結もありますね。最近ホント、新しく生み出すより書き直しのほうがやりやすいんですよ。多分書くのが下手になったからと書かなくならずに、「蜂蜜製造機弐号」をコツコツ書いていたお陰だなーと思ったり。「蜂蜜」に感謝。
 ……何か調子に乗って書きすぎた……。「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」の感想を書いて、前回貶めた埋め合わせをしたかっただけなんですが。というか、このブログを読む人は私の作品より私が薦める本を知りたがってる感じがする……。自作の話をするか、推薦本の話をするか、非常に迷います。多分両方の話をし続けますが。そして自作の話は基本ループです(笑)
 長くなりました。では。